私が助産院を選んだ理由〈フランスでの無痛分娩体験談より〉

私は、娘をドイツの助産院で出産しました。

ヒプノバース(催眠出産)を用いた穏やかな出産でした。

この体験をご紹介する前に、

私が「助産院で出産するのを望んだ理由」について
お話させてもらいたいと思います。

それは 一人目の出産での体験がきっかけとなりました。

私が長男を妊娠したのは フランスでのこと。

フランスでは無痛分娩が一般的で、
私たち夫婦もお医者さまに言われるがまま、
無痛分娩でラッキーくらいの軽い気持ちでいたのでした。

そして お産の日。

自宅で食事中に突然破水し、かなりの羊水が流出。
すぐに病院へ行き診察を受けると、
このまま出産になることを告げられます。

破水したため、赤ちゃんをなるべく早く出してあげなければいけない
と説明されました。

1時間ほどでしょうか、陣痛が起こるのを待ちましたが、
陣痛が弱いため、陣痛促進剤を投与することに。

しばらくすると陣痛が強くなってきたので、
無痛分娩の麻酔の用意をします。

陣痛の合間に背中に麻酔の処理を受け、
コードのついたボタンのようなもの(ナースコールスイッチのような感じ)を渡され

「このボタンを押すと麻酔の薬がでてくるから、
麻酔が切れてきたらその都度このボタンを押してね。」
とのこと。

しかし、陣痛は起こさせたものの、子宮口がなかなか開かないため、
今度は子宮口を開かせる(やわらかくする)点滴が投薬されます。

 

腕には薬を送るための点滴チューブ

逆の腕には数分おきに膨らんで自動的に血圧を測るベルト

お腹には赤ちゃんの心音と陣痛を確認するためのコード

背中には麻酔の針

そして手には麻酔のスイッチボタン・・・。

もうこの段階で体はコードだらけ

 

陣痛の痛みはないけど
分娩台に同じ姿勢で ただ赤ちゃんが降りてくるのを待っている。。。

そのとき こう思ったのです。

 

「なんか変。

こんなのイヤ!

こんな不自然な出産はもう絶対にイヤ!!!」

 

投薬したものの、なかなか子宮口が開かないため、

「あと1時間待っても子宮口が開かなかったら帝王切開します。」

と告げられます。

”えっ 帝王切開!?”

安定期に、ある事情で開腹手術を受けていた私は、

お腹を切る事の体への負担・術後の回復の大変さは身にしみていました。

が、幸いな事に、1時間のタイムリミットぎりぎりに子宮口は開き、

いよいよいきみのゴーサインとなります。

Allée! Allée! (go!go!)

と助産婦さん。

あ~、だめだわ。彼女全然上手にいきめてないわ~。

と助産婦さん同士ヒソヒソ言っているのが聞こえてきます。

ここで30分以内に赤ちゃんを産道から出してあげられなければ、

吸引(器具を使い赤ちゃんを引き出す補助)の処置になるそう。

私もそのリミットになり、助産婦さんが医師を呼びに行ったのですが

その前ギリギリセーフで息子は無事誕生したのでした。

 

終わってみれば 結果的に帝王切開も吸引も避けられ

痛みもなく、そして自然分娩というハッピーエンド。

 

息子との対面は、一生忘れる事のできない素晴らしい体験でした。

無事に我が子が生まれてきてくれることが

親の最大で唯一の望み

息子誕生の瞬間に立ち会ってくれた

全ての関係者の方には感謝の気持ちばかりです。

けれど、タイムリミットに従って次々行われる処置に、

早くお赤ちゃんを出さなければ危険という

焦りのようなプレッシャーを感じ続けたお産でもあったのです。

 

二人目を妊娠し 出産をどうするか考えた時

 

”体にコードがなく自由に動ける状態で

自分のしたい事・したくない事を言える環境の中で

ヒプノバース(催眠出産)で静かに産みたい”

 

この希望を、病院から遠くに住む私達が最大限に叶えられるのは

助産院で産む事では、という選択に。

 

実際、助産院では大満足のお産になりました。

また、病院での出産とは様々な部分でも大きく違いました。

 

病院とこんなに違う-助産院で産むという事-in ドイツ」へ続く
ヒプノバース出産体験記は、こちら