ヒプノバース(催眠出産)出産記Ⅰ ~a.m.5:00-10:00~はじまり

〈これは、2011年の出産体験記です〉

 

その日 明け方5時過ぎに目が覚めました。
お腹を下すような痛みがあったのでトイレへ行き、
ベッドへ戻るとお腹が張ってくるのを感じました。

時間を計ると不規則なものの だいたい5,6分の間隔です。

6時まで待ってから夫を起こすと、あわてる様子もなく「うん。」とのこと。
そして朝早く悪いけど、6時半に助産婦Vちゃんに電話をしました。

4人いる出産担当の助産婦の中、今日の1番シフトはVちゃん、2番シフトはK。

1番シフトは最初からお世話をする人、
2番シフトは生まれる前頃から補助をする人
といったシフト制になっていて
38週を過ぎると、何かあったらその日の担当に24時間いつでも電話していいことになっています。

Vちゃんは、はじめて検診をしたときに
お腹の赤ちゃんに向かって「これからさわるよ~!」
と優しく話しかけてくれた、愛のオーラいっぱいのかわいい女性。

Kは、最初に助産院へ面談に行った時に
たくさんたくさん話を聞いてくれた人。
その後私が切迫早産になり、助産院で産めるか分からなくなった時にも
なんとか赤ちゃんが37週までお腹にとどまるよう
アロマやホメオパシーやティッシュソルトから鍼に至るまで
自宅へ来ていろいろ指導してくれた、何でも話せる頼れる存在。

ふたりとも、おそらく私より年下。。。

さて、Vちゃんに電話をすると
まずお風呂かシャワーに入って、陣痛がどうなるか様子をみて
また30分後に電話するように、という指示。

指示どおりシャワーに入りましたが、それでも定期的な間隔でやってくる波。
30分後にVちゃんへそう告げると、
もう助産院へ来てもいいよと言われました。

7歳の息子が小学校へ登校するのが8時すぎ。
あと1時間待てば、息子が学校へ行くからもう少し様子を見たいと告げると、
「ミホが家のほうが落ち着くならそうしてもいいよ、でもまた30分以内に電話してね。」
とのこと。

陣痛の間隔が短いので、結局私たちは一足先に家を出発し、
息子は無事に一人で学校へと行ってくれました。

車に乗ると、息子の事が少し心配になったけど
「大丈夫だ」と彼を信頼し、あとはその心配を解き放つ事にしました。

車の中では、ヒプノ赤ちゃんのCDをかけてリラックスし
自分と赤ちゃんにだけ集中して
潜在意識の中へ どんどん深く入っていきました。

波が来るたびにヒプノバースの呼吸法を行いリラックスするとすぐに楽になります。
しっかりと深い波を感じるものの、痛みの感覚は全くありませんでした。

8時20分ごろ 助産院へ着くと、
Vちゃんはハグとともに温かく迎え入れてくれました。
なんの事務処理もなく、まるで友達の家へ遊びに来たかのようです。

2つある部屋のうち、多くの人は
水中出産用の大きなバスタブのある部屋で産むらしいのですが
私は もうひとつの部屋のほうを選びました。
(リラックス用のバスタブはあります。)

その部屋のほうが光がたくさん入って明るく、
部屋もベッドも少し広めで温かく落ち着いた感じがして、
とにかく一目見たときから気に入っていたのです。

部屋に入るとまず最初にVちゃんは静かなpops音楽のCDを流してくれて、
30分ほど分娩監視装置で赤ちゃんの心拍と子宮収縮を調べました。

その後、Vちゃんと夫でベッドカバーを自宅から持ってきたものに変えてくれました。
さっき車で聞いていたCDをかけ、あとはただリラックスして過ごします。

波が来たら呼吸法を行い、アンカリングした夫の手を腰へあててもらうと、
痛みの感覚は全く感じません。
*ドイツのヒプノバーシングのコースで“夫の手が肩にあてられるとさらに深く落ち着いた状態へ入る”というアンカリングの催眠をかけてもらっていました。

このときの私は、会話もできるし記憶もありますが、
心も体も完全にリラックスして潜在意識の中へ入っていました。

陣痛の波とともに子宮の筋肉が上へ上へと伸びていき、
赤ちゃんがゆっくりとスムーズに降りていくのをイメージしながら呼吸を行います。

助産院へ着いてから1時間ちょっとたった頃、
Vちゃんが浴槽にお湯を用意してくれることになりました。
(リラックスするためにお湯に入ることができます。)

その前に Vちゃんはどっちでもいいと言ったのですが、
なんとなく子宮口の開き具合を見てみることにしました。

すると “Du hast schon viel geschafft.(もうすでに随分やり遂げたよ)”
とVちゃん。

終始とても落ち着いている彼女が

「ミホ、もう7センチも開いてる。全然そんなふうに見えないのに。
どうしてそんなにクールでいられるの?」
と驚いた様子です。

-ヒプノバース(催眠出産)出産記Ⅱへ続く-